日記

日記など

プロミシング・ヤング・ウーマン

『プロミシング・ヤング・ウーマン』(2020)

Twitterでよく良作として名前が上がっているの見かけたため、あらすじも読まず、全くの事前情報なしで観賞。『前途有望な若い女性』というタイトルから、クールな女性がキャリアを重ねていく痛快サクセスストーリーを勝手に想像していたので、心の準備が出来ておらず、おもわぬ弾丸をくらってしまった。

画面は終始明るくポップな色合い。イマっぽい音楽。小気味よい会話。そして、同意なき性行為によって命を絶った『前途有望な若い女性』。では加害した前途有望な若い男性は?と投げかけるようなタイトル。こういう演出上の“ズレ”、(私に)あまりにも効果的で、だんだんと内臓の具合が悪くなっていくような気持ちで観ていた。不条理を正そうとする主人公に、自分の幸福を選びとって欲しい、と何度も思ってしまう。でも、そう主張するのは、知らぬふりをして事件を葬った人たちと根本的には同じか......。エンドロールを眺めながら、事件のその後を想像せざるを得なかった。レイプの傍観者も加害者も、起こった事実を忘れたいと思うだろう。なんなら忘れて、なかったことにして、新たな人生を生きていくのかもしれない。どんなに魂をズタズタにされても、決して加害者の魂が同じくらいズタズタになることはない。命を賭してやっと加害者の魂に引っ掻き傷をつけられるその不条理さに絶望してしまう。ゆく末を見届けられない復讐がやっと始まるのだ。不条理から、目をそらすことを許さない、誰にも容赦ない映画であった。

220515

病院へ行く。そういえば病院、というか診察が心の底からきらいだったと思い出すみたいに、また心の底からきらいだと思う。いつ頃からですか?どんな風に?例えば?などなど聞かれるともうてんでダメね。背骨から力が抜けたみたいな気持ちで、それと連動してくちびるの上と下が糊付けされたみたいになってた。

岡野大嗣の歌集を買う。去年歌集を出したことは知っていたが、なんとなく今だと思って買ってみた。岡野大嗣の歌には犬がよくでてくる。犬と音楽と夜と、というような感じ。ひらがなの使い方が好きだった。

春としかいいようのない夜 ゆびにCDはめたまま会いにいく(音楽:ときどき明るい/岡野大嗣)

220514

9:10に家を出ないといけないのに9:05に起きる、というか叩き起こされる。寝坊耐性がないためとんでもなく焦った。ファミマのいちご氷バーがおいしい。屋台で売られているイチゴ味のかき氷を、屋台感を損なわない程度に最大限ウマくした氷菓最善解である(種別はラクトアイスらしい......)。あと500本食べたいね。

www.family.co.jp

6分の1

先月、あまりにも目が痛かったので眼科へ行った。眼科でまぶたをひっくり返されるたびに、目玉が飛び出るのでは、と不安になる。

その日、ドライアイの検査のために初めて涙の量を測ってもらった。リトマス紙のようなものを目のふちに貼られて5分待つ。鏡をみると目から小さな羽が生えているようで、瞬きをするとなんとなく目がピリピリした気がする。

涙が出た分だけ青く色が変わるらしい。よく見ると紙にはメモリが書いてあって、私のは5mlぶん青く染まっていた。30mlが普通、最低でも10ml、と聞き、あまりの乾き具合に感心してしまった。6分の1。付き添いで来ていた母は、「こんなに泣くのに」と言った。

目が潤うもろもろを処方してもらって、今はそれほど痛くない。点眼を言われた頻度で行っていないので、少しは痛い。

泣いて出る涙の量がドライアイのそれとは全く関係がないことは分かっているが、なにかの拍子に泣くと、6分の1、ということを思ってしまう。こんなに泣くのに6分の1なんだ、6分の1、ろくぶんのいち。

 

(2021/3/8の日記を再掲)